自己アピールできるチャンス!
1年前に転勤してきたお取引先の部長が、この度、支店長に昇格されるという知らせを聞いたAさん。
まだ関係性が薄いお相手ではあったが、この機会に存在感をアピールするためにも、お祝いの胡蝶蘭をお贈りすることにした。
今まで胡蝶蘭を贈る時は、他の人に任せていたのだが、今回ばかりは自己アピールもしたかったので、誰にも頼むことなく、初めて自ら花を選び、贈ることにした。
目立つことを最優先にしたピンクの胡蝶蘭
胡蝶蘭の選定にかける時間もあまりなかったため、インターネットで下調べをして、ネット通販で購入することにした。
選んだのは、ピンクの胡蝶蘭。
どの通販サイトを見ても白い胡蝶蘭ばかりだったので、ピンクの胡蝶蘭を見つけた時には、ちょっとした驚きもあり、自己アピールとして目立つためには「これだ!」と決めた。
目立つことを最優先だと考えていたため、ピンクの胡蝶蘭を贈ることに何の疑いもなかった。
意味深なお礼メール
後日、お届けした胡蝶蘭についてお礼のメールが届いた。
「大変見事なお花をありがとうございます。ひときわ目立っていました。」という主旨の内容だった。
ただし、それは支店長本人からではなく、秘書から。
すかさず、今後のお取引の依頼も合わせてAさんは返信をした。
それまでは、短くても必ず本人からメールを返してくれるお相手ではあったが、それがなかった。
これも支店長に昇格した忙しさからだとAさんは思い、何の疑念もなかった。
逆効果だったのかもしれない
その後、会社間としてのお取引に変わることはなかったが、新支店長のAさんに対しての応対は、「あのピンクの人だね」と、少し茶化されるようなことがあった。
どことなく、これまでに比べて軽々しく扱われてしまっているように思えなくもない。
その証拠に、重要な案件に対しては、Aさんを飛ばして、Aさんの上司に直接入るようになったいた。
「もしかすると、あのピンクの胡蝶蘭が原因かもしれない」と、Aさんは、そのことを悔やむようになっていた。
どうすれば良かったのか?
胡蝶蘭を贈るケースでは、お取引先の重要な慶事である場合が多くあります。
そうであればこそ、Aさんのように目立ちたくなるのも当然ですが、お相手との関係性を考慮すると、
常識とは違う目立ち方は、むしろ、逆効果になってしまうことがあります。
今回の場合、白い胡蝶蘭が常識ではあるので、それらが多くの先から贈られ、並べて飾られる中で、
ピンクの胡蝶蘭は大げさに言えば「ちょっとした笑いもの」扱いになってしまっていたのではないかと思われます。
目立ちたい気持ちはわかるのですが、少し抑えて、せめてランクの高い白い胡蝶蘭として少し目をひく程度にしておくのが
良かったでしょう。もちろん、その送り主がわかる立札にも気を配ることも必要です。